赤い空が広がるこの街で、私はずっと答えを探している。
美しさと破壊の間に存在する、揺らめく真実。
あなたは、そんなものに興味がある?
それとも、ただ通りすがりの傍観者?
どちらにせよ、少しだけ私の話を聞いてみる気はある?
鏡に映る私の姿は、いつも自分とは違う他人のようだ。
漆黒のボディスーツが肌に貼りつき、金の装飾が冷たい光を放つ。
背中の翼は、ただの飾りじゃない。
でも、この翼が私をどこかに連れて行ってくれるわけじゃない。
飛ぶことも許されない。
そんな皮肉をまといながら、私はこの街でただの“異物”として生きている。
足元を飾る赤いブーツが、冷たいアスファルトを踏みしめるたび、
私は無意識に自分の存在を確かめている気がする。
これは現実?それとも夢?
答えなんてきっと誰も知らないし、誰も教えてくれない。
「クレハ」
それが私の名前だ。
もらったのか、自分で決めたのか、記憶は定かじゃない。
でも、人々はそう呼ぶ。
それが天使の名前にしてはあまりにも地上の泥臭さを感じさせるから、私は少しだけ気に入っている。
街は赤い。
赤い光、赤い空、赤い影。
この色がなければ何も残らないような街だ。
人々は誰もが下を向いて歩き、空を見上げることを恐れている。
きっと、この空が何か大きな終焉を予兆していると知っているからだろう。
私も、その一員であるはずだった。
でも、この背中の翼のせいで、私は普通ではいられなかった。
「飛びたいと思ったことはある?」
この問いは私自身への問いでもある。
地上に縛られながらも、空を夢見るなんて矛盾だらけだ。
だけど、翼を広げたときに感じる微かな風が、私を否応なくその夢に引き戻す。
そんな私が出会ったのは、一人の少年だった。
彼は路地裏に座り込み、何かを待っているようだった。
ボロボロのジャケットを着て、目には奇妙な光を宿している。
「ねえ、君も飛びたいと思う?」
私がそう声をかけると、彼は振り向きざまに笑った。
その笑顔は、何かを知っているようで、不気味だった。
「君も、か」
そうつぶやいた彼は、まるで私の心の中を読んだかのように話し始めた。
彼の名はルカ。
この街でただ一人、翼を持つ“天使”を知っていると言った。
ルカは私を連れて、街の中心部へ向かった。
そこには高い塔がそびえ立ち、赤い光が螺旋のように絡みついていた。
塔の頂上には何かがある、とルカは言う。
「それが君の答えだよ」
塔に向かう途中、街はさらに赤く染まった。
空が燃えるように熱を帯び、私の翼が鈍く痛み出した。
何かが起こっている。
それを肌で感じながらも、私は立ち止まることができなかった。
塔の入口にたどり着いたとき、ルカは私の前に立ちはだかった。
「クレハ、この先に行くかどうかは君次第だ」
彼の瞳は赤く輝き、その中に私自身が映り込んでいるようだった。
「行けば、君は変わる」
「戻れば、君は変わらないままだ」
私はその言葉に答えを出すことができなかった。
翼を広げると、熱が一気に私を包み込んだ。
足元の赤いブーツが火照る感覚がする。
私はただ一歩を踏み出し、暗闇の中へと進んだ。
塔の中は冷たく、無音だった。
まるで世界が私を拒絶しているかのような空気。
けれど、私はその中で確かに自分の心音を聞いた。
それが希望か、絶望かは分からない。
塔の頂上にたどり着くと、そこには赤い光が渦を巻いていた。
それはまるで私を歓迎するかのように、柔らかくも狂おしい熱を発している。
「これが私の…答え?」
そう呟いた瞬間、翼が大きく震えた。
風が巻き起こり、私は赤い光の中に吸い込まれるように宙へと浮かび上がった。
空は赤く、燃え続けている。
街は崩壊の兆しを見せ、私の背中の翼は焦げつきそうな熱を感じている。
でも、その痛みすら愛おしい。
ねえ、あなたはどう思う?
美しさの中にある破壊を、肯定できる?
それとも否定する?
私の物語はここで終わるかもしれないし、始まるかもしれない。
どちらにせよ、私が飛び続ける理由はただ一つ。
私は“クレハ”。
翼を持つ者として、この街と共に消えゆく運命を受け入れるか、壊すかを選ぶ者。
答えは、あなたの中にある。
私は、それを待つだけだから。
<終わり>
※作品は完全なフィクションであり、実在の人物や団体とは一切関係がありません。
今回の創作に使用したテクノロジー
AI画像生成
- ツール:Stable Diffusion WebUI AUTOMATIC1111
- 使用モデル:awpainting_v14
- 画像加工:Adobe Photoshop Express (彩度・露光)、Windowsフォト (生成消去)、PhotoScape X (テクスチャ加工など)
AI小説作成
- ツール:ChatGPT
これらの最先端のAIツールを通じて、新しい形の創作表現に挑戦しています。
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