巨大なプロジェクションの前に立つ私のシルエットが、暗い床に伸びている。目の前に映るのは、どこか私に似た少女――青く輝く光を胸に宿した彼女。彼女の瞳は透明で、まるで未来を見透かしているみたいだ。
「ねえ、どうしてそんなに綺麗なの?」
そう呟く声は誰のものでもない、ただの自分の反響だ。周りには誰もいない。高度に発展したこの都市の中心に立つ、巨大なアートホール。床から天井まで続くスクリーンには、彼女が、私が――映し出されている。
「私って、こんな顔してた?」
改めて、投影された少女――“私”を見る。さらりと揺れる髪は夜を切り取ったように暗く、星屑が散るような微光を放っている。白いTシャツに描かれた光のパターンはまるで都市の地図みたいで、胸の中心から放たれる青い光が、そのすべてを照らしている。
背景には、飛び交う光の鳥たち。まるで自由を象徴するように、どこまでも高く、遠くへと飛んでいく。
「いいな……」
つい、つぶやいてしまう。私は投影された自分に憧れているのだ。あんなふうに綺麗で、まっすぐで、何も恐れず光を放っている彼女が羨ましい。
現実の私は、こんなに強くなんかない。
プロジェクションアートが進化したこの都市では、「希望を映すスクリーン」と呼ばれるイベントが流行している。専用のスキャナーで精神や容姿をデータ化し、その人の“理想”を巨大なスクリーンに映し出すのだ。
初めてこのイベントに参加したとき、私は半信半疑だった。けれど、目の前に現れた彼女――「理想の私」は、今の私の何百倍も輝いて見えた。
「この子は、私じゃない」
そう思うのに、見つめずにはいられない。
胸の中心から青い光が広がるその姿は、暗闇に包まれたこの都市を照らす唯一の星のようだった。
会場の隅で、スタッフらしき青年が私を見ている。彼は軽い笑みを浮かべ、少しだけ首を傾げた。
「……何か変ですか?」
私が問いかけると、彼は慌てたように手を振る。
「いや、すごく綺麗に映ってるなって思っただけ」
そう言って、彼は壁際に並んだ他のスクリーンを示す。そこには様々な「理想の姿」が映し出されていた。大人びた男性、笑顔の子供、翼を持つ女性――そのすべてが光をまとい、幻想的に輝いている。
「みんな、自分の理想に出会いに来るんですよね?」
「まあね。でも、それが幸せかどうかは別問題だよ」
「……どういうことですか?」
青年は、スクリーンに映る私を見上げた。
「理想ってのは、手に入らないから理想なんだ。でも、こうやって目の前に見せられると――手を伸ばしたくなる」
「手を、伸ばす?」
彼は静かに笑い、私の方を見た。
「もし、その光に触れたら――どうなると思う?」
その言葉に、私は足元を見つめる。触れられるのだろうか。青い光に包まれた、私の理想の姿に。
「……行ってみる?」
青年の声が背中を押すように聞こえた。
私は無意識に、一歩を踏み出す。
暗い床に、私のシルエットと青い光が重なり合う。ゆっくりと手を伸ばすと、光が指先に触れた――気がした。
その瞬間、全身に静かな音が広がる。光が水面のように揺れて、私を包み込もうとする。まるで、彼女が私を迎え入れるかのように。
でも。
「……怖い」
手を引こうとしたその時、スクリーンの少女――「理想の私」が、ほんの少し、微笑んだように見えた。
私は息を飲む。
「私のこと……笑った?」
それは違う。ただの錯覚かもしれない。でも、その笑顔は、まるで私に語りかけているようだった。
「本当の私も、光を放てるよ」
気が付くと、私はプロジェクションの前から離れていた。青年が驚いた顔で私を見つめている。
「どうしたの? 触れなかったの?」
「ううん」
私は静かに首を振り、笑ってみせた。
「触れなくてもいいんです。だって、あれは――私の中にある光だから」
私の胸の中に、スクリーンの中の青い光が残っている気がした。それはまだ小さな星だけど、いつか夜空を照らすかもしれない。
プロジェクションに映る理想の自分は、決して遠くなんかない。今の私の延長線上に、確かに存在しているのだ。
「また来るね」
そう呟いて、アートホールを後にする。都会の夜は暗く、ひっそりと静まり返っている。
でも、私の胸の中には青い光が灯っている。それがきっと、私の未来を照らしてくれるだろう。
――星灯り、青の境界。光はいつだって、私の中にあるのだから。
<終わり>
※作品は完全なフィクションであり、実在の人物や団体とは一切関係がありません。
今回の創作に使用したテクノロジー
AI画像生成
- ツール:Stable Diffusion WebUI AUTOMATIC1111
- 使用モデル:bluePencilXL_v700
- 画像加工:Adobe Photoshop Express (彩度など)、PhotoScape X (エフェクト加工など)
AI小説作成
- ツール:ChatGPT
これらの最先端のAIツールを通じて、新しい形の創作表現に挑戦しています。
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